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新蒸留研究所 勉強会レポート|12月3日 ごち惣家にて開催

  • 2025/12/06
  • katidoki

12月3日、銀座「ごち惣家」様にて、富山市に設立された新蒸留研究所の勉強会が開催されました。飲食店様から約15名が参加し、クラフトジンの可能性や香りの科学について、所長・石川和則氏を中心に、助手の伊藤さん、そしてbar cacoiのバーテンダー大場健志氏も加わり、実践的かつ情緒的な視点を交えた濃密な90分となりました。進行は弊社の堀口が担当し、会場全体が一体感を持って学びと対話を楽しむ雰囲気に包まれました。

香りの科学的アプローチ

石川氏は「ジンがメニューに入るためには」という問いからスタート。奇をてらったものではなく、引き算的なジンを目指し、香りを科学的に捉える重要性を強調しました。ワンロット約200本という小規模生産ながら、医薬品メーカーとして「完成品を出す」という徹底した品質管理を行っている点も印象的です。「No.3」の緑茶の蒸留に2年を費やしたエピソードや、焼酎蔵・大山甚七商店や中村酒造への訪問、虎ノ門蒸留所での学びなど、製品化に至るまでの過程が語られました。

情熱的に語る所長・石川氏

挑戦と香りの奥深さ

「No.8」のラベンダーは自社栽培し、ライムと同じ成分「リナロール」を含むことなど、素材へのこだわりも紹介。試作品「No.6」を製造するためにハッカを栽培した際、その生命力が畑に及ぼす影響についても言及。現在改良中の「No.9」は木の香りをテーマに、神戸のバーテンダーと共同開発した逸品で、地域性と職人技の融合が感じられ、ブラッシュアップを重ねて製品化予定とのこと。石川氏は「科学では分析できない香りもある」と語り、香りを嗅ぐことで思考が高まるという情緒的な側面にも触れました。科学と感性の両立を目指す姿勢は、単なる製品開発を超えた哲学やロマンすら感じさせます。

飲み方提案をする、bar cacoi大場氏、弊社堀口

歴史と未来への展望

ジンの発祥についても議論があり、オランダ説が一般的ですが、実はドイツでビールを蒸留した際の異臭を抑えることが起源という新事実も紹介。このことが石川氏に衝撃を与え、「No.7」ハイジュニパーの開発に至ったそうです。そして医薬品メーカーとして「究極的なプロダクトを作りたい」という徹底から瓶へのこだわりも語られ、一度発注した瓶をあきらめ、より完璧な瓶を導入したため、製品の瓶詰は手作業で行うなど、医薬品メーカーとしてのプライドが鮮明に浮かび上がります。サクラオ・ディストラリーの科学的アプローチへのリスペクトや、富山の水の多様性にも触れ、今後は焼酎の研究にも挑戦したいという展望が語られました。さらに、45度で沸騰する独自の減圧蒸留機の活用や、ジンのベーススピリッツを突き詰めて業界の初動を変えたいという挑戦的なビジョンも披露されました。

まとめと感謝

今回の勉強会は、クラフトジン及びスピリッツの奥深さと、科学と感性の融合による新しい価値創造を体感できる貴重な機会でした。香りを科学し、情緒も大切にする新蒸留研究所の取り組みは、今後のクラフトスピリッツ業界に革新をもたらすことでしょう。参加者からは「すぐにメニューに取り入れたい」「香りの奥行きに驚いた」といった声が多く寄せられ、次回開催への期待も高まっています。

最後に、会場をご提供いただいたごち惣家・布施様とスタッフの皆様、飲み方提案をしていただいたbar cacoi・大場様、ご参加いただいた飲食店の皆様、そして新蒸留研究所の石川様、伊藤様に心より感謝申し上げます。