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酒の勝鬨酒蔵訪問記
福井県福井市『常山』常山酒造
2020年2月13日

  • 2020/02/14
  • katidoki

福井県 常山酒造(とこやましゅぞう)常山(じょうざん)

常山酒造訪問
常山酒造訪問

常山酒造にやって来ました!
さっそく晋平さんに案内していただきます
「グリルやまだ」から引き続き道林さんに常山酒造まで送っていただいた。途中から道幅の狭い地元の人しか知らないような道を走り抜け、しばらくしたころ道林さんが「確かこの辺りかな」。と到着した場所は意外なところだった。常山酒造は福井駅からすぐの住宅街と商業地帯の中間的な雰囲気の場所にある。「常山」と書かれた大きな日よけのれん横の入り口を開けると、常山由起子代表と醸造責任者である常山晋平専務がいらっしゃった。堀口以外はみな初対面ということで名刺交換をし、早速蔵の中を案内していただいた。

常山酒造の歴史
常山の歴史は400年前にさかのぼります。 古くより日本有数の貿易港・三國湊で、綿屋という名で藩の御用商人として江戸時代初期より商いを営み、元和7年(1621)に領地を賜り福井へ移りました。 福井藩公認の両替商となり福井きっての名家として栄え、やがて城内から現在の地へ移り、江戸時代末期に「常祝」の銘で酒づくりを始めたのが常山(とこやま)酒造の始まりです。 その後、福井名産品の高級絹織物・羽二重の名を冠した「羽二重正宗」が生まれ、絹のようにのど越しなめらかな清酒として広く地元で親しまれる事となりました。 そして、さらなる高みを目指し「銘酒としてその名が轟くように」という想いをこめて誕生したのが現在の主力銘柄「常山」です。 当代で酒蔵として8代目を数える常山家。 時代の変化を見極めながら変革を繰り返し、代々繋げてきた精神を継いで、これからも伝統文化を守りつつ、新しい発想と独自の感性を大切にしながら日本酒の魅力を伝えていきます。

常山酒造訪問

洗米・浸漬後の白く輝く酒米と、改良版蒸し釜。
外観からは分からなかったが、蔵の中に足を踏み入れると天井が高く、思っていたより広く感じる。少し奥へと進むと洗米、浸漬されたあとの真っ白いお米がある。酒米は福井産の「五百万石」で、「常山」の主要銘柄のひとつ「純米超辛口」へと生まれ変わるそうだ。常山酒造では洗米は10kg単位で丁寧に行うという。10kg単位で洗うということは、洗米された酒米の量を見れば何回にも分けて繰り返し洗米したことは想像がつく。この美しく純白に輝くお米は、丁寧な洗米があってこそなのだろう。

その奥には蒸しに用いられる和釜が見える。古くからのもので一般的な形をしているが、実は改良が施されているという。今期より蒸気が漏れないように工夫したそうで、それにより今までより良い蒸しあがりになったそうだ。古いものを大切にしながらも、マイナーチェンジを加えることで進化をさせる。晋平さんは豊かな感性をお持ちの方なのだろう。

常山酒造訪問

蔵内(くらうち)、いわゆる仕込みをする場所の入り口に大きな木彫りの額が掲げられていた。そこには「醸魂」と文字がある。これには「魂を込めて醸造する」を意味するもので、蔵人には常にこの気持ちを持って酒造りをしてほしいとの思いから、目に入りやすい場所に掲げているそうだ。このような場所に僕みたいな気合の欠けらもないような人間が入っても良いのだろうかと思いながら扉をくぐると、雅びやかな世界が目に入ってきた。

常山酒造訪問

魂を込めて醸します。凛として雰囲気の蔵内。
4年前に改装したという蔵内は、まだ新しい木の香りが残るような美しい木造建築であり、とても清潔感にあふれている。まるで雪が降った朝のような冷たさも感じる澄んだ空気のようで、さらに階段を登り見渡すと、規則性のある統一された設計による凛とした佇まいに感動して、ついフリーズしてしまった。「酒造りをする環境をより良いものにすることで、蔵人さんたちが働きやすくなるはず」と、語る晋平さん。職場の環境を整えると言うのは簡単だが、実現させてることが胸熱である。そして蔵内の澄んだ空気こそが、奇麗な味わいである「常山」へつながっているのだと、納得するのだった。

常山酒造訪問
常山酒造訪問

上からも美しい空間。泡を立てて発酵する醪。
当日は「踊り」と呼ばれる、酵母の増殖のために醪を1日寝かせる工程の日であり、タンクの中をのぞくと言葉通りぶくぶくと発行している様がよくわかる。そのタンクには櫂(攪拌用の棒)が入っているが、定期的に行う櫂入れ(攪拌すること)はせず、最初の時だけ混ぜて、その後は自然な対流にまかせているそうだ。ではなぜ櫂が入っているかと言うと、ひとつは引き出して状態を確認するため、もうひとつは、他のタンクと併用して使用すると、他のタンクの菌や酒質が混ざってしまうのので、それを避けるためだとのことだ。細心の注意を払い作られることもまた「常山」の味わいにつながっているのだろう。

先に進むと醪を搾る機械、ヤブタが見えてきた。通常は青、水色、緑色などだが、常山酒造のものは白い色をしている。白く塗り替えたそうだが、機械そのものも白く綺麗に保たれていおり、この場でも清潔感を感じさせる。上層(醪を搾る)する前に3日間は醪を冷やしておくそうだ。この工程に、ただ辛いだけでなく旨味もある「常山」が生まれる秘訣があると言う。この冬、知り合いなどと鍋や料理を囲む度に、「常山 とびっきり辛口」を持っていっては一升瓶はすぐ空になっていた。飲み口は軽快でも、お米の旨味をじんわりと感じることが好評だった理由だと思うが、その秘密がここにあったのかと思うと、貴重なことを聞けてなんか得した思いだ。

常山酒造訪問

常山試飲酒4種
蔵見学が終わると試飲のお酒として、先ほどの「とびっきり辛口」のほか、「純米超辛」「純米大吟醸」そして最近発売された限定酒「純米大吟醸 荒磯」の4種類をご用意いただいた。それぞれに特徴はあるが、やはり通じて純度の高い奇麗な味わいである。「とびっきり辛口」に関しては先ほども述べたように、マイフェイバリット酒の一つで日常的に飲んでいたのですが、改めて旨い。そして「純米大吟醸 荒磯」もここへ来る前に4合瓶を購入して旨すぎたのですぐ一升瓶を追加購入していたくらい好きな酒であった。

常山酒造訪問

試飲の用意をしていただいた場所は蔵内の最上部にあり、木樽の一部を再利用したテーブルや板張りの床でできたスペースで、ちょうど翌日にはとあるアーティストによるイベントが催されるとのことだった。晋平さんは、酒造りは伝統工芸品だと言う。伝統を重んじながらも、新しい感覚も取り入れる姿勢が、このようなイベントにもつながっているのだろう。

お忙しいところありがとうございました!
最後のお話で、何かこうした方が良い、このようなものがほしいなどあれば、どんどん言ってほしいと晋平さんは言います。酒造りに対する熱い思いと、現代的な感性、そしてこのような謙虚な姿勢もある醸造家、そして蔵人が作る「常山」からは今後も目が離せないだろう。 常山由起子社長、常山晋平専務、そして蔵元の皆様方、お忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。

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