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酒の勝鬨酒蔵訪問記 埼玉県蓮田市『神亀』神亀酒造 2019年3月10日

  • 2019/03/30
  • katidoki

2019年3月10日、埼玉県蓮田市にある「神亀酒造」さんへ行ってまいりました。今回の蔵訪問は、昨年まで夏の時期に当社でアルバイトとして働いてくれていた、
ウメちゃんこと梅津酒造さんの長男坊・梅津史雅君が、現在酒造りの修行を積んでいる神亀酒造さんの見学に誘ってくれたのでした。
ということで、今回はヤナギサワが個人的に酒蔵さんへといってきたわけです。

待ち合わせの場所である蔵の前にある直営店に到着すると、ウメちゃんが既に待ってくれていました。
久々の再会だったけど神亀のカメさんロゴが入ったキャップとジャンパーに視線が釘付け。再会レセプションも程々にして、早速蔵元見学がスタート!

神亀

竹林の横を入っていくと「ここが寝泊りしているとこです」と宿舎がふたつ。その奥にある事務所を通過するとすぐに窯場に到着。毎日蒸しをするそうですが、
今日は三段仕込みの「添」と「仲」の分を蒸し、翌日は「留」の分と、2日に1本仕込む半仕舞を神亀酒造さんは採用しています。窯場は洗米と浸漬の場としても兼ねておりました。

神亀

仕込み場、麹造り
急勾配の階段を上がると麹室があります。中に入ると種切りが終わり包まれている麹がありました。
その後、蓋麹に分けられ麹造りがされますが、神亀酒造さんは全量蓋麹で造ってるそうです。そして出来上がり、冷やされているハゼ込みの入った麹を頂くと、
しっかりとした甘みが感じられました。これが神亀の味に繋がっていくのですね。

酒母室と仕込み場には今まさに仕込み中のお酒の子供達。冬場の仕込みも終盤ということで、空いてきているタンクもありましたが、
ここまで長い道のりだったのでしょう。下に戻って大きな仕込みタンクの脇には佐瀬式の圧搾機が2台あり、この建物全体が冷蔵管理されていました。
うめちゃんも、勝鬨に来ている時よりもシュッとクールな感じで、グレンみたい!なんていう声もありましたが、それは置いておきましょう。

ここまであっという間でしたが、造りの合間の貴重な時間を使って案内してくれたウメちゃん、有難うございました!ここでウメちゃんは、作り作業へと戻って行きましたが、
小川原社長様から、もし宜しければ試飲はいかがですかとお誘い頂き、試飲をさせて頂くことになりました!

神亀

試飲タイムとお話
その日、別で見学されていた、溝の口の坂戸屋商店の武笠さんと澤畑さんとご一緒に試飲が始まりました。まず頂いたのは、
今期初リリースとなる「華吹雪」「美山錦」「ひとごこち」の米違い生原酒を3種類頂きました!それぞれお米の特徴が感じられましたが、
「美山錦」「ひとごこち」は、神亀の定番酒として生まれ変わるので、それぞれの酒米単独のお酒はこの生原酒だけ!
神亀酒造さんでの生酒の比率は全体の8パーセントほどだそうですが、神亀の生酒ってなんか貴重で有り難みがあります。
しかし、神亀酒造さんといえばやはり燗酒でしょう!ここから深い燗酒タイムが始まるのでした。
小川原社長が奥から持ってきたのは、かんすけの新商品で四合瓶がそのままお燗に出来るスリムタイプかんすけ!
そして、今年の新色平杯をプレゼントして頂きました!小川原社長がじっくりとかんを付けている間に、色々なお話を聞くことも出来ました。

現在の定番「神亀純米辛口」は、14BYのお酒が2%混ざっているそうで、僅かな量ですが古酒を混ぜることで輪郭が出るそうです。
また、季節によってブレンドも変えてるそうで、四季によって味わいは少しずつ異なるそうです。
味が変わる事はとても自然な事で、複雑味も必要だとか。因みに生酒を出す理由は、
火入れのお酒ではフキノトウなど少し苦味のある「春野菜」や「初ガツオ」とはどうしても合わないので「生酒」が必要になるという事でした。
この話を聞いて春野菜やカツオが食べてくなってきましたよ。

まずは「ひこ孫 純米吟醸」「ひこ孫 純米」そして「ひこ孫 純米吟醸 小鳥のさえずり」を頂きましたが、
ここで社長が「ひこ孫 純米」に「小鳥のさえずり」をほんの少し垂らしてからお燗にしています!
すると、じっくり温めで仕上がった燗酒が、なんとも言えない柔らかさに奥行き、そして艶っぽさが出てきます。
さすがは蔵元様ならではな裏ワザです!

それから通称オレンジラベル「阿波山田錦」の27BYと26BYの2種類を飲み比べや、昭和56年、57年、58年などの古酒などなども試飲させて頂きましたが、
常温では滑らかで柔らか綺麗な味わい、ぬる燗で優しい旨味が広がります。この味わいの秘密は、これらのお酒はマイナス10度でゆっくり熟成されたことと、
やはり純米酒であることに由来するそうです。小川原社長は瓶を光に当てながら、液面などに照りが出てると言い、いい酒にはこの照りが出てるんだそうです。
現在冷蔵庫に、故小川原良征社長(通称専務)が貯蔵していた古酒が沢山あるそうで、それらも少しずつ商品化していく予定だとか。

改めて「神亀」というお酒を飲んで思う、濃醇な旨味。小川原社長は、

「お酒は麹の味が七割、誇を持って麹造りをやらなければならない。」

と言います。

さらに「麹」や「熟成」がお腹を空かせるそうで、濃醇なのに食事に合う理由はここにあったのですね。
そして「神亀」はうなぎに合うとお話を聞いた途端、うなぎが食べたくなってきたので近くの鰻屋へと、神亀酒造さんを後にするのでした。

当日は小川原社長様、梅ちゃん、お忙しところありがとうございました!

神亀

まとめ
・蔵の入り口は林の中
・歴史と人肌を感じる蔵の中
・仕込みは半仕舞
・全量蓋麹による丁寧な麹造り
・麹造りが神亀の味わいに繋がる
・搾りは冷蔵管理されたなか佐瀬式が2台
・生酒は春の食材と合う
・定番酒にも古酒がブレンドされている
・定番酒も四季によって味わいを変えている
・一滴裏ワザでさらに旨いお燗
・マイナス10度でゆっくり熟成
・お宝古酒がいっぱい埋まっている
・神亀は鰻に合う

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