今年で100周年!GRACE WINE オープンカレッジ2023 at山梨に行ってきました。
酒のかちどきマスオカです。5/23(木)に中央葡萄酒(グレイスワイン)オープンカレッジ2023に行ってきました。今年で100周年のグレイスワイン。おめでとうございます!
到着してすぐ、醸造家の三澤彩奈さんに畑(明野農場)を案内してもらいました。
畑見学

★標高700メートル、日照時間日本一長い
★四方を山に囲まれているので、雨雲を遮ってくれる
西:南アルプス
東:茅ケ岳
北:八ヶ岳
南:富士山

風:年間通して南風が吹く。「南風」というと温かい風のイメージだが、山風なので涼しい風が吹く。病気になりにくく、湿度を飛ばしてくれます。

シャルドネの畑 0.1ha オーガニック認証取得のために「殺虫剤」使用できない。そのため、樹木の皮を剥がして、中にいる幼虫を手で捕殺する作業を行ったとのことです。かなりの労力と時間、根気が必要な作業ですね!

葡萄のツルが巻き付いて木質化してしまうが、これも病気の原因になるので、全て手で取り除いています。ひとつひとつ手で取るという根気がいる作業。以前ワイナリーに訪れたときも、彩菜さんは移動中もツルを見つけたら全て手で取っていました。

「スーパー甲州を造りたい!」
と彩奈さん。拘りの甲州畑の工夫は以下の通りです。
①垣根栽培を行い、葡萄の糖度を高めている。
風が抜けるので湿気が飛ぶ。光合成を促進することで糖度を上げる効果。棚栽培では風が抜けていかない。

②高畝式栽培(たかうねしきさいばい / 地面から80センチくらい土を盛り高くしている)
水はけをよくして、水分ストレスを与える。水分を蒸発させる。

加えて、マサルセレクション、畑で酵母を造ったお話もお聞きできました。
マサルセレクションとは:甲州は個体差が出やすい品種のため、選定の際マーキングしておいて、よりよい樹木を選抜して良質な樹を育てていく。「畑で味を完成させる」醸造技術だけではない高みを目指して、三澤農場のクローンを造ることが目的のプロジェクトです。
畑で酵母を造り、それを自然酵母して→ワイン「三澤甲州」へ使用。容器に葡萄を入れて自然酵母を造る。免許が必要だが、取得出来たとのこと。
マサル・セレクション、酵母造りなど。良質な葡萄造りのため。農場の品質を守るため。チャレンジ精神と惜しみない努力を感じました。
糖度を上げるため、葡萄の収穫は10月入ってから!
現地でも常に気持ちいい南風が吹いていました。日中の寒暖差も大きく、葡萄に良い環境であることを体感できました!
熟成庫

続いて、熟成庫へ。バレルテイスティングをさせていただきました。


「甲州2022」
白桃、洋ナシの香り、MLF終わったばかりの状態。自然にMLFしている甲州は珍しい。2017に一樽のみ取っておいたものからMLF発生。
甲州で感じる柑橘系、グレープフルーツっぽさより、白桃、洋ナシの印象が強く、他の甲州と別の個性を感じました。

「カベルネフラン2021」
フレッシュなイチゴ、ラズベリー、スミレ、カベルネフランによくある「グリーンっぽさ」は明野の葡萄にはない。長い余韻、エレガント、のびやかな味わい。繊細な渋み。ブレスジュースは使用せず、フリーランジュースのみ使用。外観クリアなので、清澄、ろ過せず、そのまま瓶詰め。キュヴェ三澤のブレンドに使用 。
カベルネフランにあるピーマンっぽさ、ベジタブルな感じは控えめ。上品な味わいでした。
現在、全てのワインのアッサンブラージュは彩菜さん一人で決定しています。少しでもダメだと思ったらセカンドにする。そのためファーストの生産本数は少ないようです。この辺りの味の見分け方に関しても覚悟をもって挑んでいる三澤彩奈さん。自分に厳しく、努力家でもある彩奈さんの今後を見守りつつ、期待しています。
続いて、ガレージにてテイスティングです。
グレイス オープンカレッジ テイスティング


■フライト1

1:グレイス甲州 2022
・エレガントな酸味、上品、若い白桃、洋ナシ、適度な果実味、強すぎず、弱すぎず、全体的なバランスよい
・標高400メートル以上のブドウのみ使用 丘陵地のもの
・手摘みのみで収穫している。ステンレス発酵、貯蔵
・G7広島サミットで使用。
・世界最大のコンクール「デキャンターワインアワード」5年連続金賞受賞、グレイス甲州のみの快挙。

2:茅ケ岳甲州 2022
・硬さ、硬質、ミネラル、酸味しっかり。
・茅ケ岳ほかのワインと違う方向性、勝沼と土壌が違う影響。
・勝沼より気温が低い、冷涼な産地。


3:菱山畑 2022
・勝沼の菱山地区
・硬質、スティーリー、ミネラル感

4:鳥居平畑プライベート・リザーブ 2022
・樽使用、飲みごたえあり
・鳥居平=神聖な場所
・南西地区、日当たりがよい、水はけがよい。
・凝縮したブドウ、昔から勝沼ではグランクリュ扱いのエリア
・菱山「陰」:凛としている
・鳥居平「陽」:熟した、陽気
2022年の特徴
・酸が綺麗な年、1996年以来の酸の強さ。
・8月に収穫開始、終わったのが11月2週目。過去最長の収穫期間であった。
■フライト2

1:セレナエクストラブリュット2019
・熟成感を感じる細かな気泡、泡立ちの速度 速すぎず、遅すぎず。フレッシュな味わい、酸味あるが強すぎない。上品、鱧の天ぷらと食べたい。
・「グレイス ブラン・ド・ブラン」との違い。セレナはセカンド。ブラン・ド・ブラン 5年熟成から7年熟成へ。 セレナは3年だから次回から4年熟成になる。ブラン・ド・ブランは、明野の葡萄のみ使用、シングルヴィンヤード。セレナは、明野と勝沼菱山のものを使用。


2:グレイスロゼ2022
・サーモンピンクよりも明るい赤色、アセロラ色の外観、辛口、余韻にほんのり甘さが残る。
・メルロー36%、カベルネ・ソーヴィニヨン32%、カベルネ・フラン25%,プティヴェルド7%
・明野農場のみ シングルヴィンヤード
・果実のフルーツさを楽しんでほしいワイン
・酸味が綺麗に残っている、フレンチオークの発酵。

3:ヤマナシ・ド・グレイス2021
・ミディアムボディ、渋みおだやか、余韻にやや果実の甘さが残る。
・赤ワイン「キュヴェ三澤」のサードワイン
・マスカットベリーA74%、メルロー20%、カベルネ・フラン4%、カベルネ・ソーヴィニヨン2%

4:あけの2020
・ボルドースタイル、フルボディ
・赤ワイン「キュヴェ三澤」のセカンド
・ メルロー63%、カベルネ・ソーヴィニヨン28%、カベルネ・フラン8%、プティヴェルド1%
・キュヴェ三澤と作り方は同じ
・100年記念のラベルデザイン

5:周五郎
・フォーティファイドワイン
・甘口ワイン 熟成感、酸化のニュアンス、甘露飴、甘口
・以前は「周五郎のヴァン」だったが、「周五郎」に変更した。
■フライト3

1:グレイス ブラン・ド・ブラン2016
・生のナッツ、熟成感あり
・5年熟成
・今後はさらに長期熟成を目指している。7年熟成
・熟成が長いとどう違う?→厚み、味の複雑さ
2:明野甲州2015
・甲州とは思えない香り、熟成感、丸みのある果実味、酸味はかなり穏やか
3:Blanc2020
・上品な樽香り、ムルソーっぽい
・日当たりのよい区画、夜に収穫。
・夜の収穫だと、ブドウの張りが違う。ピーンと張っている。ぷりぷりのブドウ。
・果実味たっぷり、エレガントでボリュームを感じる。
増岡コメント:高級な食材と合わせたい!ガストロノミック。
4:赤2014
・熟成感、フルボディ、良質なボルドーワイン
・2014年は大雪の年、山梨缶詰状態。しかし畑のブドウは雪で守られた。5月の日照量が最高だった。
増岡コメント:上質なボルドーワインのよう。フルボディだがエレガントさがある。グレイスの特徴が表現されている。和牛と合わせたら最高。
増岡コメントまとめ:ほぼ全てに近いラインナップのフライトであった。キュヴェ三澤のクオリティはさすが!

外も明るく気持ちのいいテイスティング時間でした。
全体的に「上品な酸味」「エレガントな味わい」で通していると感じました。

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