当社のインボイス番号はT7010001040392です。

【蔵元見学レポート】飯沼本家

  • 2025/07/26
  • 大塚薫

こんにちは。勝鬨スタッフ大塚です。
先日、酒々井アウトレットで有名な千葉県印旛郡酒々井町にある「飯沼本家」さんの蔵元見学会へ、
店舗スタッフ竹谷と行ってまいりました。
この日は関東に台風が接近しており、時折突風にあおられながらも電車は動いていたので向かうことができました。
片道約2時間ほど電車に揺られながら、JR酒々井駅に到着。
蔵元さんの送迎車に乗り、10分ぐらいで蔵に到着しました。

正面口。
蔵見学に行くたびに思いますが、由緒ある歴史が漂う外観に圧倒されました。
また、敷地の広さにも驚かされました。

最初にご案内して頂いた場所は、蔵の敷地内に佇むキャンプ施設の「きのえね SAKE CAMP」。
山林や竹林に囲まれ、整備されたウッドデッキのエリアになっています。
実際にテントを立てて寝泊まりできるエリアで、設備も充実しています。
初心者の方でも手ぶらで気軽に楽しめる、キャンプ施設になっているそうです。

正門の反対側には巨大な冷蔵庫があり、たくさんのお酒が格納してありました。

正門をくぐった先には前蔵のエリアがあり、応接室がありました。
蔵の移築のときにあわせて、昭和初期に造られたそうです。

次に訪れたのは「明治蔵」。
飯沼本家さんに残されている唯一の木造の蔵です。
「明治蔵」と呼ばれる所以は、明治時代に建てられたことからきているとの事。
普段はイベントなどがあった際に、会場の一部として使用しているそうです。

次に「北総蔵」という事務所がある場所にご案内して頂きました。
飯沼社長による、会社概要についての説明会が始まりました。
最初にお話があったのは「酒々井町」という町名の由来。
昔、この地区の井戸からお酒が出てきたという伝説があったとの事で、
そこから現在の「酒々井(しすい)」の由来となったとされているそうです。
千葉県は地震の時に液状化する地域が多いですが、酒々井町の特に蔵周辺は地盤がしっかりしているそうで、東日本大震災の時には大きな被害がなかったとの事でした。
何かの縁があってこの場所でお酒造りができているんだなと、私自身この時に感じました。

~会社としてのテーマ~
・製造および発泡を残した独自の方法
・和モダンでコンセプト押しのラベルデザイン
・来蔵型(観光型)スタイル
この三つを掲げて、現在取り組まれているとの事でした。

続いて飯沼本家の杜氏、川口幸一さんのご挨拶がありました。
「飲んだ後に自然と笑みがこぼれるような、そんなうまい酒を造りたい」という一心で、日々真摯に酒造りと向き合い、和醸良酒を信条に造っているとのお話でした。
私は「和醸良酒」という言葉に感銘を受けました。
日々生きる中で、お互いを尊重し協力しあい、一つの目標に向かって取り組むことの大切さに改めて気づかされました。
その後、川口さんの案内で工場内の見学へ。
浸漬→蒸米機→麹室→酒母室→もろみタンク→上槽室の順番でご案内いただきました。

浸漬タンク。

連続蒸米機。
浸漬した酒米がコンベアで運ばれて、蒸米から放冷までの一連の作業が行われるとの事。
時間や温度、蒸気などを自動的に調整しながら、良い状態の蒸米に仕上げる作業を行います。

KOS多段式自動製麹機。一度に多量の良質な麹を造ることができる大型製麹機を使用。
歴史ある経験や技術に基づいて作られた麹が、機械により製造されるのは非常に便利です。

酒母タンク。

もろみ仕込みタンクの内部。
中身がなかったため、内部を見れました。
清掃する際には、中に入って二人がかりで行うとの事です。

下から見た、もろみ仕込みタンク。

大型タンクによる「櫂入れ」作業はコンピューターで管理し、自動でもろみの撹拌をします。
これにより、機械と技の融合のいい部分が補えるとの事。
常に一定の商品を安定して製造する事が可能になったそうです。

事務所にある制御盤。
こちらで醪や麹を自動で管理されています。

上槽室。
多量の醪を搾ることが出来て、お酒も酸化されにくいとの事で自動圧搾機を使用しているそうです。

その後、日本酒と二十四節気料理が味わえる「きのえねomoya」へご案内いただきました。
代々、飯沼家が住み継いてきた築約300年の「母屋」を改修、国の登録有形文化財に指定されています。

飯沼社長の隣で緊張しながらでしたが、いろいろなお話をさせていただきました。
お酒やお食事もどちらも美味しくいただきました。

意見交換会の後、瓶詰め工場をご案内いただきました。
こちらではお酒の瓶詰めや、瓶による火入れ(パストライザー)が行われています。

最後に直営ショップの「きのえねまがり家」にご案内いただきました。
定番品から季節品まで、様々な商品がありました。
帰りは台風もすっかりなくなり、晴れて帰ることができました。

【大塚】今回の蔵見学では、お酒を飲んで笑って楽しむことの大切さに改めて気づかされました。
杜氏の川口さんの言葉にもあったように、お酒を造る方々も、飲んでいただく方々に笑顔があふれるようなお酒を提供したいとの思いで作られているということ。
飲む側または販売する側として関わる私にとっては、この思いを大切にしていこうと思いました。
また、その土地に実際に足を運ぶことにより、その土地の歴史やお酒とどのような関係があるのかなども学ばせてもらい、とても勉強になりました。
今回お邪魔した飯沼本家さんには、蔵見学の際に立ち寄ることができなかった「ブルーベリー農園」もあるとの事なので、機会があればプライベートで寄ってみるのもいいなとの思いでした。

【竹谷】飯沼本家さんの蔵見学に行ってまいりました。
今回、「甲子」のコンセプトについてお伺いする事が出来ました。
コンセプト:ガス感のある酒
10年ほど前、秋田県の齋彌酒造店さんに勉強に行かれた際、蔵人の方が酵母の種類を変えることで味わいの変化を表現することにシンパシーを受けたそうです。
それから、酒米ではなく酵母の違いに重点を置いた酒造りを行うようになったとの事。
ガス感がコンセプトになっているのは、酵母による表現を行う上で必要だからとのことでした。
また、シンプルに他社との差別化という理由もあるようです。
ガスありきの味わいになっているため、ガスが抜けた後の味わいに課題があると仰っていました。
醪を攪拌しない、櫂を入れない、タンクが大きくそこが窪んでいるため、自然体流しやすい、-5℃の冷温保存、などによってガス感を保ちやすい酒質になっています。

長々とご拝読賜り、誠にありがとうございました。