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酒の勝鬨酒蔵訪問記 埼玉県上尾市『Bunraku Reborn』北西酒造 2023年3月28日

  • 2023/04/10
  • katidoki

酒のかちどきヤナギザワです。久々の酒蔵訪問に行って参りました。新規取り扱い銘柄「Bunraku Reborn」北西酒造さんです。

酒蔵到着

わが実家に戻る途中、車窓から何度も眺めたことはあったが、降り立ったことは今まで一度もなかった上尾駅。改札を出て、思っていたよりもビッグだなと第一印象。しかし、会社を出た頃から少し前まで雨降りだったが、着いた時には突然青空が現れるという、ここでも晴れ男ぶりを発揮するのであった。

文楽

さて、本日向かうのは「文楽」の銘柄などで知られる埼玉県上尾市にある北西酒造。築地から数名で出発し、1時間40分ほどして最寄駅であるJR上尾駅に到着した。駅を出てすぐの交通量のある道を歩いて7、8分した道沿いに北西酒造が見えてきた。駅前の市街地から程なくの場所にあるという、かなりシティー派の酒蔵だが、このストリートはかつて中山道だった標柱を発見し、なるほど街道沿いに酒蔵となれば、それほど珍しくないかと納得した。

文楽

シティー派なのは場所だけでなく酒蔵もかなり現代的で、知らなければ美術館か県か市がやっているなんかの施設のような立派な建物である。そんなモダンな建物前で、営業部 荻野さんにお出迎えいただき、さっそく建物へと案内していただいた。そば好きとして事前にチェック済みであった、併設される飲食店はどうやら別の会社が経営されているそうで、「文楽」のお酒は提供されているとのことだ。自動ドアを通過し、さらにエレベーターで3階まで上がると、整然としたオフィス空間に席を用意していただいていた。ここから荻野さんと、村上杜氏、國松課長様も加わり概要の説明をしていただき、そのあと蔵の見学となったが、その両方を踏まえて紹介したいと思う。

北西酒造のお酒について

北西酒造の5代目蔵元北西隆一郎社長は37歳と若く、従業員も30歳前後の方が中心としたとてもフレッシュな編成である。しかし創業は1894年(明治27年)と古く、同じ上尾市内の平塚と呼ばれる場所に始まったが、良い水が出る現在の上尾市上町へ移転したそうだ。以前は本醸造中心のストロングスタイル路線であったが、北西隆一郎氏の代から醸造スタイルを徐々に変え、現在の少量仕込みへと転換するのである。

北西酒造ロゴ
2017にはロゴのリニューアルを行いました。
水

埼玉県では現在32の酒蔵が存在するが、水系は利根川水系と荒川水系のふたつに分かれ、北西酒造は荒川水系に位置する。弊社取扱の神亀酒造もこちらの荒川水系になるそうだ。水質は弱硬水で、お酒の発酵に必要なミネラル分を豊富に含み、数値上は酒造りの盛んな京都や広島と遜色のない結果を得ている。また着色の原因になる成分も極めて少なく、酒造りに適した土地だそうだ。

使用される酒米は、全国から広く仕入れていると言う。これは、昨今の異常気象による災害からお米の調達に影響が出ないようリスクヘッジの意図があるのと、「どういったお酒を作りたいか」と、酒質を前提とした逆算から、適した酒米を選択していることにあるそうだ。つまり、原料や工程から出来上がりを待つのではなく、信念のある「コンセプト」ありきのお酒であることが伺える。ちなみに埼玉県産の酒米「酒武蔵」はそのコンセプトに合わない性質のため、使用していないとのこと。

酒蔵見学

調達した精米済みの酒米を洗米する機械は2種類あり、ウッドソンの洗米機で徹底して雑味を取り除き、麹米は吸引脱水、掛米は遠心脱水機を用い、水分をしっかり取り除いたうえ吸水率を厳格にコントロールしているそうだ。ウッドソンは他の酒蔵でもよく見かけたが、遠心脱水機は珍しい。この洗米から蒸し工程が2階フロアの同エリアで行われている。

ウッドソン
ウッドソンの洗米機
麹室
全ステンレス仕様の麹室と村上杜氏(右)

少し奥にある麹室だが、温度管理をしている部屋の壁は全ステンレス仕様で、麹台もステンレス製で大きさの違うものが3台ある。これは製造するお酒の種類により使い分けるそうだ。さらにその奥には出品酒用の蓋麹を用いて麹を作る専用の部屋もある。その横には部屋全体が冷蔵機能になっている出麹室があった。麹の表面をしっかりと乾燥させるのに適しているそうだ。製麹にはハクヨー5段式を導入して数値管理を徹底し、一定時間を設定するのではなく、状況に応じて出来上がりを杜氏が判断しているとのこと。

続いて酒母室では、次なるお酒となる酒母がいくつか育てられていた。酒母には麹や酵母が加えられるが、先に述べた「コンセプト」の多くが詰まっている。後でも触れるが、お酒に酸を表現したいため用いられる「白麹」と、程よい香りを作り出す小川酵母を用いられている。

櫂
櫂を持っているのが営業荻野さん(右)

またこの場所では生もと造りの米をすり潰す作業も行われおり、一番擦りは少し改良をした潰す道具の櫂(かい)を用い、その後の2番摺り、3番摺りは自作した自動すりつぶしマシーンを用い、今の時代らしく労働に負担をあまりかけないよう工夫しているそうだ。

タンク

続いて醸造部屋は、700キロのタンクが5、6台とかなり小規模である。聞くことによると、毎年8月末から6月半ば頃まで3期スタイルで70本程度を製造するようなので、週に2本ずつの醸造計算となり、造っては入れ替えを繰り返しながらの作業になるとのこと。今後は1階に10tタンクを撤去し、新たな仕込室を建てた上で、3,000L程度のタンクを導入予定で、酒質もより良いものなるのではないかとことだ。

2階フロアの最後には、ラベルを貼る作業部屋があり、続いて1階へと降ると、上槽、つまりお酒を搾る機械としてヤブタが設置されているが、機械を丸々取り囲むように冷蔵室化されていた。さらには、業務用のプラズマクラスターでの空気清浄やオゾン水で洗浄を行うことで、酒粕の臭いなどが軽減されたそうだ。

プラズマクラスター
ヤブタ横のプラズマクラスター

また、生詰めを行うお酒の場合は、上槽後にプレートヒーターに入れ火入れ急冷させ、脱酸素装置を経由し瓶詰め、さらにはマイナス5度に保たれたコンテナへそのまま瓶詰め貯蔵されるそうだ。その作業を行うための設備や機械、出荷場などがあり、先に触れた新調予定のタンクを設置予定場所に古い大きなタンクが残っていた。

文楽とAGEO
テイスティング
最後に文楽とAGEOの試飲もさせていただきました。

外から見た印象ではとても大きな建物であるが、お酒造りに使用されるスペースはわりとコンパクトに収められている印象だった。現在の蔵に建て替えたのが2008年とのことだが、毎年少しずつ新しい設備と入れ替え、まだまだ進化の途中にあるようだ。

記念撮影
北西酒造売店十一屋酒店前で記念撮影
文楽ストア
綺麗な店内:地元の文楽FANの方も増えてきているようです。

Bunraku Reborn 特約店販売経緯

そもそもなぜ今回、「酒の勝鬨」に特約店としてお声を掛けていただいたのかというと、「お酒は酔うだけのものではなく楽しむもの」という弊社杉本社長の考えと、北西酒造様の経営理念である「日本酒で人と人との和を創り、人々を幸せに」という”お酒で楽しく幸せにしたい”という、共通の想いから「酒の勝鬨」へお声掛けしていただいたそうだ。大変ありがたいと同時に、身の引き締まる思いである。

bunraku-muroka
誂えがお洒落なBunraku-Reborn

「酒の勝鬨」では特約店銘柄としては「Bunraku Reborn」を任されることになった。このお酒のコンセプトは「酸」。近年では使用する蔵が増えてきた白麹(通常の日本酒は黄麹)が作り出す酸味を特徴とするお酒であるが、なぜこのようなお酒を作るきっかけとなったとのかというと、若手チームが飲みに友人などと行くと、レモンサワーを飲む人が多いことから、レモンサワーに変わるお酒を作りたいという思いからスタートしたそうだ。

つまり、酒母室のところで触れたが、「Bunraku Reborn」の大きな特徴である、白麹を用いることでクエン酸が多く生成される。そして、小川酵母で程よい香りと余計な酸は出さないことにより、結果としてレモンのような爽やかな酸味が表現でき、檸檬のような酸味を特徴としたお酒が生まれるのである。

さらにはラベルもポップなデザインを心がけ、まず手にして貰えるよう工夫しているそうだ。同世代の人にもっと日本酒を飲んでもらいたいという思いからレモンのような酒質。確かにヤングはレモンサワー率高いかもしれないが、自分のようなミドルやもっと年配の人もレモンサワーを飲む印象がある。決してヤング受けには限らない酒質なのが、「Bunraku Reborn」ではないかと思うし、きっと幅広い層に受け入れらるだろう。

文楽リボーン

ちなみに「Bunraku Reborn」のラベルは、右斜め上に切り抜ぬいた部分があるのだが、これは「右肩上がりに進化する」意味と、北西酒造の「北」と上尾の「上」の字をデザインしたもので、最近新しくしたコーポレート・ロゴにも右同様のデザインがされている。 角丸はレモン(酸)をイメージした形となっている。

「Bunraku Reborn」は飲食店様と築地店頭、直営オンラインショップにて販売を予定しております。 

新商品入荷しております。【限定商品】【日本酒】Bunraku Reborn Sun Citron 特別純米 無濾過生原酒 R4BY 720ml ※クール便発送(2023年4月8日新入荷商品)

数が少ないのでお早めに!

埼玉県 北西酒造
蔵元ホームページ
埼玉県上尾市上町2丁目5−5