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田んぼからテーブルまで、いづみ橋酒造を知るセミナー2018

  • 2018/09/08
  • katidoki

9月5日、神奈川県海老名にある泉橋酒造さんの「田んぼからテーブルまで、いづみ橋酒造を知るセミナー」へ参加させて頂きました。
当日は、店舗スタッフの伊藤と、私ヤナギサワで訪問させていただきました。

セミナーの内容は、

第1部 セミナー @泉橋酒造
1.泉橋橋酒造の酒造りや皆様との営業の方針について
2.圃場、及び、酒造工場の見学
3.きき酒、(神奈川県の新・産地銘柄米「楽風舞」を含む全製品)

第2部 ペアリングディナー @蔵元佳肴いづみ橋でした。

今回は、第1部のセミナーと見学を通しての報告になります。

泉橋酒造について
まずは、代表取締役 橋場友一様より、泉橋酒造についてのお話がありました。
当日は、普段のセミナー会場が他の予定が入っていたため、急遽敷地内にある古い建物内のお座敷にて行われ、由緒ある場所でお話が始まります。
なぜ、泉橋?
よく聞かれるそうですが、なぜ泉橋酒造と名付けられたかというと、創業当時、敷地内に流れていた川が「泉川」と呼ばれていたそうで、蔵元様のお名前「橋場」さんと合わせて「泉橋」となったそうです。海老名耕地
お酒の銘柄にもなっている「海老名耕地」と呼ばれる酒蔵のすぐ裏手に広がる田んぼ地帯の歴史は古く、最近の調査で2000年以上前から農業が行われていたことが分かったそうです。山間部とは異なり、シカやイノシシもいなく、鳥獣害も少ないことは大きなアドバンテージになっているそうです。

いづみ橋
いづみ橋

セミナー会場となった蔵元様ご自宅

いづみ橋の水源
海老名は、3本の川が合流する地帯にあり、川の反対側は厚木になります。川の先には、津久井湖と相模湖、更に先には山中湖とあり、水源には大変恵まれた環境で、水は十分に使えるそうで、田んぼの高温障害が避けやすく、米作りにも適してるのこと。水質は、硬度120mg/l程度もあり、これは国内でもかなり硬質な部類になります。酒造りにおいて硬水はとても利点があるそうで、硬水に多く含まれるミネラルやカルシウムが醗酵を促進させたり、熟成が早めるとか。当然、お酒の味にも影響があり、いづみ橋さんのお酒の特徴の一つにもなってるようです。


栽培醸造蔵
泉橋酒造さんは、自らを「栽培醸造蔵」と呼びます。ご存知の方も多いと思われますが、泉橋酒造さんは、酒造りだけでなく米作りも行う酒蔵さんです。酒造りに使用するほぼすべてのお米を、自社栽培と契約農家さんのお米で賄っています。ワイナリーで言うブドウから製造するドメーヌの様なものに当てはまりますが、日本酒造りにおける適当な言葉がなく「栽培醸造蔵」と呼ぶようになったとのこと。実はこの「栽培醸造蔵」は、泉橋酒造さんの商標登録だそうで、特に独占するつもりはないそうですが、申請したところ通ってしまったそうです。つまり、酒米作りから精米、仕込みまでを自ら一貫して行う酒蔵さんはとても珍しい、ということなのです。

また泉橋酒造さんは、正式に「農家」としても申請しており、海老名耕地のほかに、新田宿、望地河原、大島といった場所でお米の栽培をしており、特に相模原市にある「大島」は、相模原市からの誘致を受けて米の栽培をしているそうです。ちなみに、大島という場所は、川の中州にあるとても美しい田園地帯ですが、詳しくは教えて頂けませんでしたが、今後有名な場所になることが決まっているらしいです。

泉橋酒造が作る酒米
泉橋酒造さんは、現在「山田錦」「楽風舞」「雄町」「神力」「亀の尾」の5種類の酒米を栽培しています。そのうち「山田錦」は2010年、「楽風舞」は今年2018年に神奈川県の酒造好適米として登録されたばかりの新しい酒米。神奈川県産の「山田錦」は全国で20番目の収穫量で、その全てを泉橋酒造さんが生産しているそうです。

栽培と醸造全てを同じ社員さんがやっている泉橋酒造さんは、5月は苗、6月に田植え、10月収穫そして酒造りが始まるという、大変忙しい酒蔵さんですが、米作りと品種の構成にも工夫があり、「楽風舞」や「亀の尾」の早生品種と「山田錦」「雄町」「神力」の晩稲(おくて)品種を使い分けることで、収穫時期も分けられ、結果収穫量を増やすことが可能になったそうです。特に早生品種の「楽風舞」はとても重要な品種だそうです。また、泉橋酒造さんで使用するすべてのお米は、田んぼの名前、品種、農家名のすべてが分かる仕組みになっています。一般的に農協などから購入する酒米は色んな農家さんのお米が平均的にブレンドされていますが、どこのお米であるかを知ることで、このお米は精米時間が長い(いいお米は精米時間が長い)、水の吸収が良い、良い麹ができる、またそうでもないなど、結果を農家さんへフィードバックできることで、より発展的な関係を築けるそうです。また、それぞれのお米の特性も知ることが出来るので、どこの米をどこの酒に使うか良いかの判断材料にもなるそうです。

田んぼ
田んぼ
田んぼ

蔵のすぐ裏手に広がる海老名耕地と、田んぼで作られる酒米

生酛造りと酒造り
泉橋酒造さんのお酒全体の半分が「生酛造り」で仕込まれています。「栽培醸造蔵」として、せっかく土からやっているので、自然なものを作ると考えたとき、やはり「生酛造り」になったそうです。

「生酛造り」で作られたお酒は、「押し味」と言われるのどの奥の方に感じる深い味わい。これは先日当社で勉強会をして頂いた「惣誉酒造」さんも同じことをおっしゃっておりましたが、タンパク質がアミノ酸やペプチドに分解され、これが深い旨みを与えるそうですが、現在泉橋酒造さんでは、神奈川県のとある研究機関とこの「生酛の旨み」について研究中だとかで、その研究成果を待っているところだそうです。酒造りの過程において、米麹は全て手洗い、掛米は気泡で洗う最新の洗米機を使用。そしてその麹作りには全て麹蓋を用いているそうで、当然手間も掛かりますが、麹蓋で少量づつ作ることで、微妙な差が分かり、良い麹ができるそうです。このように、手作りと機械の使いわけることででメリハリをつけることができ、酒造りにも良い影響があるそうです。

泉橋酒造さんの蔵の中を拝見させて頂いた印象としては、敷地は広いわけではないですが、導線良く様々な作業場がコンパクトに収められている印象でした。また、手作りの部分である伝統器具と同時に最新の機器も導入されており、酒造りに対する意識の高さのようなものが、ひしひしと伝わってきました。現在、更に巨大な冷蔵庫も建設中で、出来上がるとお酒の熟成用貯蔵庫として使用されるそうです。

蔵内
蔵内
蔵内
蔵内
蔵内

まとめ
ここまで、橋場様や蔵人様達からお話を聞いた印象をまとめますと、・神奈川県は実は米作りに適している
・いわば、天然ミネラルウォーターのような水に溢れている
・現在、全国唯一の栽培醸造蔵
・お酒もお米も蔵人が造っている
・実は本気の農家でもある
・農家さんとの関係が密
・神奈川県の酒米登録に大きく関わっている
・生酛造りにこだわる
・麹造りもこだわる
・良いものは積極的に取り入れる
・酒造りの意識が高い

のようなところでしょうか。

この後、いづみ橋全商品の試飲と料理とのペアリングが待っていますが、そちらはまた次回ということで。

最後に、タクシーに携帯を忘れて運転手さんに届けてもらった際、セミナーを中断させてしまい申し訳ございませんでした!

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