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 記憶が定かであれば、昨年と全く同じ新幹線のはずだ。東京、大宮と停車した後は長野までノンストップ。途中に見えるはずのわが生家の確認すら許されないほどのスピード感で、気づけば窓の外は一面の銀世界。冬らしい景色になってきたと小躍りするも、海沿いに出た頃に雪はすっかり消えうせ、白から茶色景色に巻き戻し。山沿いは雨や雪など、天気予報でよく聞くフレーズの意味が初めて分かった気がした。
 
 今回の出張は、社長杉本、峯岸、堀口と私柳澤で福井・京都の蔵元を訪問する。昨年と同じと前出したが、つまり峯岸と私は2年連続の福井入りなのだ。今まで遠いと感じていた福井がまた一歩距離が縮まった印象だ。金沢で乗り換え福井駅に到着すると、改札で黒龍酒造 薮下部長がお待ちだった。黒龍ロゴがプリントされたシックスシーターに乗り込み、いざ向かうは黒龍酒造。と、その前にちょうどおなかがペコリ出したところで、大人気という「けんぞう蕎麦」にてランチをごちそうになる。「けんぞう蕎麦」については後日「そばにさけ」にてご紹介するとして、ペコリが満たされたところで再出発すると、すぐの所で画像で見てたあの黒龍酒造が今、目の前に。

今年も来たよ!恐竜くんにお出迎え

また来たよ!恐竜くんにご挨拶。いざ、黒龍号で出発!

黒龍酒造

創業は文化元年(1804年)。 初代蔵元の石田屋二左衛門が良水に恵まれた永平寺町松岡に創業以来、黒龍酒造ならではの酒造りを追求。 歴代の蔵元に受け継がれる「良い酒をつくる」という理念を礎に、常に日本酒の新しい可能性を探究し、業界に先駆けた取り組みを積み重ねてきた。 お客様の「味わう」という一瞬にまで思いを巡らせ、時代を越えて愛される日本酒を提案している。 酒蔵の地下深く、滔々と流れ続ける白山水系・九頭竜川の伏流水。その源流に近い奥越前に広がる、酒米「五百万石」産地。豊かな自然に恵まれた九頭竜川流域に黒龍酒造はある。 2005年には「兼定島 酒造りの里」を新たに建設し、1000平方メートルの冷蔵設備、700平方メートルの原酒貯蔵庫を始め、調合室、瓶低温貯蔵庫などを設け、徹底した温度管理や古酒の貯蔵を行なう。また、醸造部には2017年10月に吟醸仕込みを行う「正龍蔵」が完成。唯一無二の技術を導入し、日本酒界を牽引し続ける。

 「黒龍」と聞くと、近寄りがたい風格やある種の威圧感みたいなものを、この業界にいると感じていた。その格式の高さは、実際に3年前に完成したばかりという正龍蔵に入った瞬間は、決して間違っていなかったと感じた。とても酒造りがされてるとは思えない、近代的なホテルや美術館に足を踏み入れたような印象であり、蔵内の撮影は禁止と言われれば、自ずと緊張感は高まる。白衣を身に包み、念入りに手洗いをしたところでやっと蔵の心臓部へ足を踏み入れることができた。

大きな黒龍マークが刻まれた正龍蔵。薮下さんに案内頂きます。

 正龍蔵は、4階建で最上階から仕込みが始まる構造で、上から下へと導線良く設計されている。途中3階は蔵人の休憩室となってますと聞いたとき、何か穏やかな気持ちになった。昨今言われている働き方なんとかとは、このような事ではなかろうか。働く意欲はまず現場の環境が大事であると感じていたので、なかなかシビれる瞬間だった。この事がきっかけではないが見学を続けているうちに、自分がイメージしていた「黒龍」は、実は全然違うのではないかと自分への疑いが始まる。これまでいくつかの蔵元を見てきたが、今まで出会ったことのない機械や装置、設備が立て続けに登場するからだ。酒造りのためにこのような常識を超えた装置が備えられるその理由は、常に細心の品質、徹底した味を持続するためだと言う。自分が勝手に思い描いていた「風格ある酒」は、実はひた向きで「真摯な酒」であったのだと、軌道修正をするのであった。そして「真摯な酒」であるとの推測は間違いでなかったと次の場所で決定的になる。

移動中に見えた九頭竜川と、雪景色ではなかった田畑風景。

 正龍蔵から3キロ程度離れたところに兼定島と呼ばれる製造部門がある。ここは4棟に分かれており、貯蔵、瓶詰め、出荷場などに分かれている。貯蔵用には無数のサーマルタンクが使用されているが、新洋技研工業のサーマルタンクの導入は黒龍酒造が第1号だったとか。今では当たり前にサーマルであるが、当時はきっと革命的であり、一歩先を見据えた探求心はその当時からあったのだろう。さて、みなさんは「黒龍」「九頭龍」の味がいつ飲んでも変わらないと感じたことがないだろうか?実は「黒龍」「九頭龍」のレギュラー酒は全てブレンドされてから瓶詰めされ、この製造部門には、いくつかのタンクの酒を調合して最後の味を決める、焼酎やウイスキーと同様にブレンダーが存在する。さらに驚いたのはそのブレンダーが、お酒を仕込む醸造部ではなくこの製造部に所属していることだった。責任重大である以上に、互いの信頼関係がなければできない仕事であるだろう。

重厚感あふれる建物。中にはサーマルタンクが入ってます。

 蔵に入る人たちがそれぞれの場所で誇りと責任を持って製造に関わることでいつもの「黒龍」「九頭龍」が出来上がる。毎年酒質が変わるレギュラー酒を決して否定するつもりはないが、いつもの味、そして常に品質の最上級を保ったお酒を提供し続けるのは、そんなに簡単ではないだろう。「常にオリジナルなことをする」。と水野直人社長の言葉だが、その圧倒的なオリジナルは想像をはるかに超えるものであり、それらすべてが「黒龍」「九頭龍」の味につながっていると思うと感慨深くなった。

出張ケイタリングの九頭龍ワゴン!チャーター便で出荷されていきます。

最後に記念撮影、お忙しいところありがとうございました!

 見学が終わり本日のホテルへチェックイン後、福井駅付近の浜町と呼ばれる場所にある「紋や」にて、夕食をごちそうになる。その席で水野直人社長が、志半ばで亡くなった先代の水野正人さんはきっと正龍蔵のようなものを建てたかったのではないだろうかと穏やかに話す姿が印象的だった。

 水野社長、薮下部長、そして蔵元の皆様方、お忙しい中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。

大将の人柄が素晴らしい「紋や」の暖簾と、本日の献立。

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