また来たよ!社員さんにご挨拶。ここまで雪が降らないのは記憶がないとか
空撮による一本義久保本店ビフォアアフター。
一本義久保本店
油断していた。一言でいうならこうである。先ほども述べたが、前回訪れたのが1年前。そんなに大きな変化はないであろうと、安易な予想をしていたがすぐに覆される。見学が始まるとメモ書きは止むことはなく、スマホを押す指はフル回転。もしかしたら昨年は知らなかった、気付かなかったこともあるだろうが、これはポヤポヤとしてる場合じゃない。すると格太郎社長が「これ去年なかったやろ」と、出荷場にある大きな鉄製の棚台を指差す。上の空間を利用することで整理整頓が向上するという。おそらく手作りか特注品であると思うが、昨年に来た時も整理整頓されてると感じていたので、まだ物足りなかったとは恐れ入りる。わが社も学ばなければならない。
さらに進むと、去年はあった調合用の大きなタンクを2台撤去したとのこと。あのどデカいタンクをどうやって運び出したのか想像できないが、これまた思い切った行動だ。ものを無くすことで空間が生まれ、するとアイディアも生まれるとの考えだそうだ。なるほど棚もそうだが、自分の家に置き換えて考えてみるといろいろと教訓となるところがある。ここは自分も一本義流に即行動に移そうじゃないかと、後日思い切って棚を購入した。しかし撤去が進まず気付けば今日も日が暮れていく。一本義流への道のりはまだまだ遠い。
新たに導入した棚。この空間がどう変わるのでしょう、楽しみ!
昨年も触れたが、蔵は3階建の鉄筋コンクリート造で、原料を最上階に運び上から下へと作業が流れる構造。勝山でかなり早くにできた鉄筋コンクリートの建物で、建設から50年以上はたっているということからも随分前から近代化していたことになる。最上階に上がると袋に入った酒米があり、そこには契約農家の名前が記されている。同じ酒米でも生産者によって性質が異なり、混ぜてしまうとブレが生じると言う。特に伝心銘柄に関しては単一の生産者の酒米をタンクごと分けて性質を見ながら仕込みをするそうだ。米に限らず野菜や果物などは、同品種でも味が異なることなんてよくあること。異なる性質の原料から、一つの製品として仕上げる技術には尊敬しかない。
道林部長にご案内頂きました。契約農家産「越の雫」
当日は鑑評会用の大吟醸酒が仕込みが行われていたので、一部は見ることができなかったが、逆にそれ以外を見せていただいたことが感謝である。一本義久保本店で使用されるタンクは通常750kgのもので全部で20基あり、今年は120本ほどの仕込み予定だそうだ。タンクの周りを不凍液で包み、マイナス5度での徹底管理。昨年は銀色だった瓶貯蔵される冷蔵コンテナは白く塗り替えられていたが、光を反射させる作用をがあり、温度が上がりづらくなったそうだ。とにかく蔵のあらゆるとことで冷蔵管理、冷蔵機能が整備されている。当然ながら電気代が半端ないそうだが、今の時代に必要なこと、しっかりやらなければならないと強調する。酒質面の向上だけでなく、安心、安全に飲めることが、今の時代は求められているのだろう。
冷蔵管理に、冷蔵庫。徹底的です。
蔵見学が終わると昨年と同様に試飲のお酒をご用意いただいた。それぞれのお酒を冷酒とお燗で飲み比べると、伝心の「雪」「稲」「土」、一本義「純米」「辛口純米」と、全てにおいて「酸」を感じる温度帯があることに気づく。この「酸」と合わせる料理や食材に「日本酒のチャンスがある」と、格太郎社長。そしてここ勝山市などを奥越前と呼ぶそうだが、奥越前は広島、長野と並ぶ軟水トップ3の水源で、日本酒のテロワールは「水」ではないか。などなど興味深い話しを聞きながら、充実の時間はあっという間に過ぎていくのであった。
レギュラー・ライナップを中心に試飲させていただきました。
最後に記念撮影、お忙しいところありがとうございました!
福井名物「ソースカツ」 定食バージョンをいただきました