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酒造り

蔵元に戻り早速蔵の中を案内させて頂きました。先ほども触れましたが、酒造りは900キロのタンクにて今期は50本を予定しているそうで、3月末まで仕込まれます。直章さんが醸造責任者となってから10年が経ったそうですが、それまでとやってる行程は一緒でも、同じ事はしていないと言い、10年の間に様々な変化をさせてきたそうです。その中の例として蔵を清潔に保つ為に照明を増やしたり、床部分をフラットな状態にる工事などを少しずつ行なっているそうですが、改善しつつも古い蔵にも良さがあり、古い部分も残すことで蔵の味と、栗林酒造店のお酒の個性になると言います。

槽場にはヤブタがあり、絞った後は新たに導入した濾過器を用いてオリだけを除くそうです。そして詰められたお酒は瓶燗にて火入れされます。ちょうどその作業をしていた最中でしたが、65度にて瓶火入れし、冷却はせず自然に冷ませているそうです。このように栗林酒造店さんは全量を瓶火入れを行なっているそうで、とても手間を掛け手作業で酒造りをしています。

瓶詰め火入れされたお酒は一本蔵と言われる、導線が一本筋で作られている一番奥にある冷蔵庫にて保管されています。そこには間も無く出荷される「春霞 純米吟醸 直汲み」がありました。

亀山酵母と美郷錦

麹室の中は見ることは出来ませんでしたが、出来上がった麹米は水分を飛ばす為に専用の冷蔵庫に一旦入れておくそうです。そして栗林酒造店さんのお酒の特徴の一つである「亀山酵母」を見させて頂きました。試験管に入った酵母を軽く振ると炭酸ガスが湧き出てきます。この試験管に入った酵母を少しずつ培養するそうですが、ちょうどその作業をするからと見せて頂きました。酵母が雑菌に触れないよう、完全にクリーン化された器械の中で作業が進められておりました。栗林酒造店さんではこの「亀山酵母」と「熊本酵母」を使い分けお酒作りをしています。

栗林酒造店さんの特徴と言えばもひうとつ、田んぼ違いの銘柄「栗林(りつりん)」に代表される地元の酒米「美郷錦」になります。「美郷錦」は「山田錦」に「美山錦」を交配して育成され、2002年に登録された秋田県産の酒造好適米です。性質的には「美山錦」の方に近い部分があるそうで、「山田錦」などと比べると扱いも難しく複雑な味わいがあるそうです。しかし、そのような部分も含めて「美郷錦」の面白いころでとあり、蔵の個性が出せると考えているようです。

現在造られるお酒の7割りがこの「美郷錦」を使用してるそうですが、将来的には100%「美郷錦」で酒造りをしたいと思ってるそうで、精米歩合や仕込み方などを工夫すれば「美郷錦」単体であっても様々なタイプのお酒が出来ると考えているようです。しかし現ライナップの酒米違い「栗ラベル」シリーズに使用される「雄町」「山田錦」「酒こまち」で、違うお米を使うことで「美郷錦」の個性を知るポイントにもなるようですし、現時点で全量「美郷錦」にするということではないとのこと。とにかく「美郷錦」へ愛を感じました。

試飲タイム

蔵の見学が終わると、和室に戻り試飲をさせて頂きました。本日頂くのは「春霞 純米吟醸 緑ラベル 生」 と 「春霞 花ラベル」の2点です。今回も飲んだ感想をサッと書いてみました。

春霞 純米吟醸 緑ラベル 生

「赤ラベル(純米)」と並ぶ「春霞」ブランドのベーシックなシリーズの限定生酒になります。酒米は「美郷錦」、酵母には「熊本酵母」を使用。

今季は酸が少なめだそうですが、それでも綺麗な酸と甘みが軽快に入ってきてます。そして生酒のフレッシュな要素もあるけど、程よいジューシー感で心地よく飲めます。

 

春霞 花ラベル

「美郷錦」と「亀山酵母」を使用した季節限定酒「醸造法の違い」シリーズから、春限定「花ラベル」です。

一度火入れされたお酒ですが、言われなければ分からない程のフレッシュな味わい。微かなガス感がまた爽快な後味を演出してくれます。今年の春酒ヒット間違いなし!蔵元出荷は3月7日頃予定です。

「春霞」「栗林」

「春霞」といえばラベルのデザインが特徴的ですよね。薄っすらと印刷されているレギュラー「春霞」のラベルは、あまり主張の無い感じのラベルを作りたかったという直章さんの想いからデザインされたそうです。直章さんとお話をしていて感じる、とても謙虚で実直なお人柄は「春霞」のラベルそのものだと思うのでした。

そして栗林直章さんは言います。

「ただ並べて売れる酒ではありません。一言、二言あってのお酒です。」

栗林酒造店さんのお酒は、丁寧にゆっくり、等身大で造られる、DIYな真のクラフト酒。

私達は「春霞」「栗林」のお酒に丁寧な言葉を添えて、皆様に伝えていく必要があると心に刻むのでした。

栗林直章代表・製造責任者様、そして蔵元の皆様、お忙しい中ありがとうございました。

まとめ

・蔵元は自宅兼
・蔵人は通いながら酒造り
・製品の70%は県外出荷
・年間の作りは600石の小造り蔵
・浸漬はお米の水分も考慮
・仕込み水は名水百選のミネラル分が少ない軟水
・蔵内を少しずつ改築中
・古き蔵の良さも活かす
・搾りから瓶詰めは速やかに
・全量手間のかかる瓶燗火入れ
・使う酵母は蔵付き「亀山酵母」と「熊本酵母」
・酒米「美郷錦」にこだわる
・ゆっくり等身大で造られるお酒
・謙虚な人柄が反映されたラベルデザイン