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洞窟を後にして、いざ正真正銘の一本義久保本店さんへと向かう。車中からは盆地と分かる景色が広がり、およそ4、50分すると遂に蔵元様に到着した。入り口にはまだ青みが残る大きな杉玉、そして中に入ると立派な和室と庭園が広がる。そして、代表取締役社長 久保 格太郎様が登場して第一声「やっときてくれた!」

その後も「やっと」と連呼してくれて、何とも有難いお言葉だ。自分は勝鬨酒販に入ってまだ5年目だが、峯岸と黒沼は前職の頃からの繋がりもあり、そうおっしゃってくれたのだろうが、こちらこそ「やっと来れました」である。自分は久保社長様と初めてお会いしましたが、男気あると言いましょうか、豪快でいて小気味良いしゃべりに、かっこいいなあと、思うのでした。

本来は雪深い場所なので、毎年のように庭園の木を雪から守る吊を施したそうですが、今年は暖冬で全く雪が降らず、吊をする必要もなかったのではないかなどと、しばらく久保社長とお話をしたあと、さっそく蔵の中を案内してもらうことになりました。

一本義久保本店の酒造り

酒蔵は鉄筋コンクリートの3階建て構造で、建設から50年以上は経っているということなので、かなり早くから近代化していたことになるでしょう。まずは2階部分に案内されると、当日はちょうど高精白のお酒を仕込んでいる最中で、蔵人の皆さんが洗米作業をしているところだった。案内をして頂くのは醸造担当の横町さんです。

一本義久保本店のある奥越前は「五百万石」の全国でも有数な作付け規模を誇る場所であり、この「五百万石」を中心に「越の雫」そして「福井県産山田錦」と、福井県産の酒米を使用して酒造りをし、田植えや稲刈りに社員さんも参加しているそうです。精米は福井県内の専門業者に依頼し、そのお米がいま目の前で水流を利用した器具にて洗米されていた。

洗い終わったお米は水温8度の桶に入れられ給水され、その後脱水器によって余計な水分を取り除き、一日置いた後に蒸し作業に入るそうです。お米を蒸す甑は連続式の大きなもので、きめ細かい蒸しが可能だそうです。蒸しあがったお米は冷風機で冷ますが、精米歩合などの違いによって冷ます時間も違うとか。

同じフロアーには、中は見れなかったが麹室が3つもあり、こちらも精米歩合によって使い分けてるそうです。麹室の台は、それ自体が量りになっており、水分の変化を重さを見ながら作業が出来るそうだ。麹造りには麹蓋を用い、一升分ずつ均一なるよう温度を調整しながら麹菌を繁殖させている。

また、同じフロアーに酒母室もあり、この階で作られた酒母は、一階の仕込み蔵と繋っている穴からエアーシューターにて運ばれる仕組みになっていた。

蔵の中はとにかく綺麗で清潔感に溢れ、衛生管理を徹底されている。その徹底ぶりの話として、蔵人すべてが手など作業服から出る部分の体毛を全て剃っているとのことでした。

仕込みから搾り

現在タンクには「一本義 純米酒」などが仕込み中で、ぷつぷつと泡が立っている。毎日濾液を採って成分分析し、櫂入れもたまにするが、必要以上にはせず麹の力で飛ばしているとのことでした。以前は搾りの場所であったが撤去し、温度調整のできるサーマルタンクを一昨年20台増設し、現在では30台もあるそうだ。サーマルタンクだと今までの半分ずつしか仕込みが出来ないが、その分出来上がりは間違いなく良くなっているのこと。

そして少し奥へ行くと搾りの場所があり、ヤブタ式の大きな自動圧搾ろ過機が2台の他、大吟醸用の袋釣りさせるタンク、そして袋釣りで残ったもろみを搾る槽が3台あったが、こちらの槽、実は社員さんの手作りだという。電気に詳しい人と溶接に詳しいひとがいるというが、こんな機械を自作してしますなんて驚きです。

貯蔵にこだわる

出来上がったお酒を貯蔵するタンクは、普通酒などを貯蔵する大きな百石タンクや、大吟醸や生酒を入れるタンクにはマイナス7度の不凍液の入ったシートが巻かれており、そうすることで中のお酒はマイナス2度に保たれるという。最近の流れである生酒や吟醸系などのお酒は熟成が早い為、この様な管理が必要だそうだ。

更さらに外にでると、何台もの冷蔵コンテナが積まれており、瓶詰されたお酒が保管されている。久保社長は、一本義久保本店を一言でいうなら「貯蔵にこだわった蔵である」とおっしゃっておりました。確かにまず最初の洞窟貯蔵に始まり、不凍液シートを使用した貯蔵、冷蔵コンテナと、多様な貯蔵方法と巨大な貯蔵施設や設備が言葉以上に物語っており、「貯蔵にこだわる」という言葉を、まさに肉眼で感じることができたのです。

そのほか、瓶詰はクリーンルームにて行われており、この施設は北陸では最も早く導入するなど、ここでも清潔感への取組みが行われていた。

見学して思ったのは、大きな機械や設備等が広い敷地内に綺麗に整然と配置され、機能的な酒造りがなされている印象でした。

本日はここまで、つづく。。